2020/09/17
やる気とやらされ気
From 吉永信昭(よしながのぶあき)@福岡県久留米市
やる気とやらされ気は全然違うものです。
どちらも行動を起こす原動力となるのは同じですが、最後まであきらめないでやり切れるのか、それとも途中であきらめて投げ出してしまうのかは、この2つの違いで生じることも少なくありません。
さらにいうと、同じ時間、努力をしたとしても、得られる成果はやる気の方が遥かに高くなります。
「やる気」はいわゆる内発的動機付けと言われるもので、自分の希望や目標や憧れなどから起こるやる気の状態です。
「できるようになりたいな」とか「やってみたいな」という気持ちが大きくなって生まれてくるものです。
他にも「負けたくないな」とか「友達もやっているから一緒にやってみたいな」とか「新しいスタートを切るからがんばってみようかな」と言ったものも、これにあたります。
一方の「やらされ気」は外発的動機付けと言われるもので、周りにつられたり、怒られたり、指示されたり、外部からの働きかけでやらなくてはいけない状況になって行動を起こす受身的な状態です。
「やる気」が一番いいに決まっていますが、「やらされ気」も一概に悪いとは言い切れません。
最初はやらされ気で行動を起こしたとしても、やらされるうちにだんだんとできるようになり、得意になって、好きになっていくうちに、いつの間にか「やる気」に変わっていくこともあります。
習慣のついていないしつけの段階では、やらされ気で行動を起こさせることも必要な場面があるということです。
ただ、少しだけ気をつけておかなくてはいけないこともあります。
それは「やらされ気」で行動を起こすうちに、いつの間にか「言わないとしない」「怒られないと動かない」という状態になる危険性があるということです。
こうなると、少し厄介になります。
やらないといけないとわかっていても、自分から行動を起こすことはなく、指示されたり怒られたりしなくては行動しないということになることがあるからです。
これは、誰かに言われないとやらない「やらん気」という状態です。
さらに、自分が失敗ばかりしたり、怒られたりばかりすることで、さらに厄介な「やれん気」という状態に変わっていくこともあります。
こうなってしまうと、いつもやらない言い訳を考えるようになったり、「どうせやっても、うまく行かないよ」「やるだけ無駄だ」などと、自信を完全に無くしてしまったり、少し卑屈になってしまったりする状態になります。
子どもたちに行動を起こさせたいときに「やる気」と「やらされ気」の、どちらのアプローチになっているのかは、親や指導者として時々、確認してみることが必要かもしれません。
よく指導現場で「やる気をもっとだせ」という激励を聞くこともありますが、おそらく「やる気をだせ」という叱咤激励で「やる気」が出るようになるのは、ほんの一部の負けず嫌いのこどもたちだけです。
子どもたちに対する言葉かけや態度ひとつで、子どものやる気に火をつけることはできます。
でも、そのスイッチは子どもたち一人ひとり全員が違うものです。
自分で進んで行動しようとする「やる気」を伸ばせる働きかけをしていきたいものです。
スポンサーサイト
コメント