2021/02/22
集中の仕方
From吉永信昭(よしながのぶあき)
@大分県宇佐市
「全集中、水の呼吸」なんていう台詞が世間一般にも広がって、子どもたちの間でも「集中」について注目が上がっています。
スポーツ選手が試合中に高いパフォーマンスを発揮するためにも「集中力」は大切な要素です。
子どもたちが将来どんな分野に進んだとしても「集中力」があるかないかで能力をどれだけ発揮できるかどうかは大きく違っています。
一流のアスリートは、集中力は持って生まれたものではなくて、練習して身につけることができるスキルだということを知っています。
自分でいつでも集中した状態に持っていくことができるように練習をして身につけています。
先日、現役から引退したラグビーの源五郎丸選手のキック前のルーティンは有名です。
イチロー選手もバッターボックスに入る前に、一連のルーティーンがありました。
ルーティーンとは、「ある一定の思考と行動を一定の順序とリズムで行い、心を整え、集中力を高めるスキル」ということになります。
プレッシャーに押しつぶされそうな場面でも、ルーティーンを忠実に行い、心を整えて、集中力を高めていきます。
試合前に円陣を組んで大きな声を出して走り出していくのも、ルーティーンのひとつです。
大切な試合に臨む前に、自ら集中力を高める自分なりの儀式を持っておくことも集中力を高める助けになってくれます。
さて「集中」に話を戻しますが、集中の仕方は「内的集中」と「外的集中」のふたつに分かれます。
「内的集中」では、集中の対象が自分自身の心の内側に向けられていきます。
「ミスしたらどうしよう」などといった思考をポジティブなセルフトークで「今ここ」に集中できるように仕向けていく必要があります。
もう一方の「外的集中」は、「一点集中」と「分散集中」に分かれます。
源五郎丸選手やイチロー選手のルーティーンは、視線を一点に集めるようにしているので「一点集中」ということになります。
選手のポジションや周囲の状況を把握する際に求められる集中は「分散集中」です。
試合中には、この「一点集中」と「分散集中」を適切かつ迅速に切り替える能力も求められることになります。
競技の中での集中力は、グーっと入り込む集中だけではなくて、全体を俯瞰して見渡せるような集中も必要で、それらを使い分けながら持続させていく能力だといえます。
人間の集中力と心拍数にも深い関係があります。
一般的に「120回/分」程度が集中力を一番発揮しやすいと言われています。
ただし、バスケットボールなどの激しい運動を伴うスポーツの場合には、もう少し高めの心拍数が適していると報告されています。
集中力が乱れそうになったときに役立つスキルとして、「視線のコントロール」があります。
「視線のコントロール」を源五郎丸選手の例で考えてみます。
まずは得点ボードなど試合中になくならない遠くにあるものに視線を向けることで、一度、心を開放します。
そして遠くのターゲットを確認したら、視線を自分の指先など「必ず近くにあるもの」に戻すことで自分の内面に意識を向け直します。
遠くのものを見る(外的集中)→近くのものを見る(内的集中)という一連の流れを通して集中力をリセットしているのです。
そして「今ここ」の精神で目の前のプレイに無心で取り組むことを訓練によって習得しています。
もしかすると「全集中 水の呼吸 壱の型」など自分でつぶやいてみるのも、ルーティーンのひとつとして使えていくようになるかもしれませんね。
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