2021/02/19
忘れようとすればするほど
From 吉永信昭(よしながのぶあき)
@福岡県春日市
嫌なことがあったり、とんでもない失敗をしたり、人前で恥をかいたりしたときには、「早く忘れなくちゃ」とか「なるべく考えないようにしなくちゃ」と努力したりすることもあります。
実は、忘れようとすればするほど、脳の記憶は定着して忘れられなくなってしまうという結果になることがあるので注意しなくてはいけません。
「考えないようにしようとすればするほど、忘れられなくなる」という現象のことを、アイロニックプロセスセオリーといいます。
これは心理学の用語で、日本語に訳すと「皮肉な考え方の理論」という意味になります。
忘れるために思考を統制しようとすることが、かえって思考の活性化につながって、強く記憶できてしまうというものです。
例えば、「絶対にピンクのクマをイメージしないでくださいよ」と言われたとしたら、頭の中にはピンクのクマがイメージとして浮かんで来たと思います。
イメージしないという目的を達成するために、イメージする必要があるということです。
禁煙やダイエットでの食事制限がうまくいかないのも、この理論が作用していることがあります。
「今日から絶対にタバコをやめる。タバコは吸わない。タバコは絶対に吸わない。」なんて思っているうちに、いつも以上にタバコのことばかり考えてしまって、結果、タバコが吸いたくなるなんてころもあると思います。
不満に思ったことや、腹が立ってしまったことがあったときに、うまく相手に伝えることができなくて自分の中に溜め込んでしまうこともよくあります。
嫌なことをなかなか忘れられないという自覚がある人はまだマシなのですが、厄介なのは「嫌なことを忘れたつもり」になって不満が溜まってしまっている自覚のない人です。
不満を忘れたつもりで過ごしているのですが、脳の中ではしっかりと覚えている状態が続いています。
知らない間にどんどんと不満が溜まっていくのでかなり危険です。
ふとしたことがきっかけになって不満が大爆発してしまうなんてことにもなりかねません。
もしも自分の周りに黙って不満を抱えている人がいたら、ときにはゆっくり時間をとって話をしたり、愚痴を聞いてあげることも必要になりますね。
私も周りの人にかなり迷惑をかけているので、少し気を配る必要があるなと思います。
最後になりますが、人は、「忘れようとすればするほど忘れられなくなります。」
「忘れたいのに忘れられない」ようなことがあるのなら、まずは「忘れようとしない」ことから始めないといけないようです。
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