From 吉永信昭(よしながのぶあき)
@大分県宇佐市
サッカーのコーチとしてもう30年以上たちます。
高校の時にサッカー部に所属してたのですが、顧問もいないような状態で試合に出てもなかなか勝つことはできませんでした。
最上級生になってキャプテンを任されてどんな練習をするのかも考えたりしていましたが、そんなにサッカーの知識があったわけでもなく、それまでやっていた練習を踏襲するだけだったので、練習の効果が上がるはずもありませんでした。
高校を卒業して大学に進学した後は、どうしてもやりたかったケンカ空手に夢中になりました。
大学に行っての勉強よりも道場に行って空手をする時間の方を優先していました。
そこでは自分の練習もそうですが、少年部や周辺地区に指導に行く機会もたくさん与えてもらいました。
その頃から、小さな子どもたちに運動を教えることが自分にとってうやりがいのある仕事だと思っていたと思います。
中学校の先生として就任した学校で「サッカー部の顧問をやってほしい」と言われました。
「やってみたいです」と即答しましたが、これからサッカーにどっぷりハマる人生が始まりました。
赴任した学校はサッカー熱の高い地区だったので、素人の私の指導に不信を持つ保護者も少なくなかったように思います。
「サッカーのことをわかっていない素人だから強くなるわけがない」と言われたこともあります。
とても悔しい思いをしましたが、目の前にいる子どもたちをうまくしていきたいという思いは人一倍強くなっていきました。
何もできなくて何も知らない私ができることは、ひとつしかありませんでした。
それは「学ぶこと」です。
強いチームに練習試合を申し込んで、どんな練習をpしているのかとか、どんな話をしているのかといったものを盗んでいくようにしました。
すすめられた本や指導ビデオなどもたくさん見まくって、良さそうだなと思っているものをやってみ流ようにしました。
たくさんインプットして実際にアウトプットして、良かったものを自分のものとして磨いていきました。
一生懸命にサッカーコーチとしての勉強を積んでいくにつれて、素晴らしい指導者たちと関わる機会が増えていきました。
学びにとって素晴らしい環境にいることで、自分のサッカー知識や指導スキルは自然と上がっていきました。
そして、いつの間にか日本を代表するような選手たちの育成年代に深く関わることができるようになっていました。
今はプロのサッカー選手として活躍している彼らも、本当にサッカーが大好きでたまらない子どもたちだったことを懐かしく思い出します。
彼らが子どもの頃に、将来日本を代表するようなプレイヤーになるとは夢にも思いませんでした。
もちろん本人たちも夢としては口にしていましたが、それが現実したものになるとは想像していなかったかもしれません。
でも、彼らは自分の夢を、自分の力で実現させることができたのです。
彼らに共通して言えるのは「素直で謙虚である」「ひたむきに努力する」「挫折を乗り越えた」という特徴がありました。
そして「目がキラキラと輝いていた」という大きな共通点がありました。
子どもの頃には彼らよりも上手い選手もたくさんいたわけですが、彼らは「コツコツと努力し、チャンスをつかみ、他に信頼される結果を積み上げていった」わけです。
どんな子どもたちも新しいことを始めるときには、絶対に目がキラキラと輝いているはずです。
この目のキラキラがいつの間にか失われてしまうケースが少なくありません。
目のキラキラがなくなってしまうと、上手くいくこともなかなかうまくいかなくなってしまいます。
目のキラキラがなくなった子どもを見たときに、指導者は、絶対にその子どもだけの責任にしてはいけないと思います。
もしかすると、その原因が自分の指導力にあるのかもしれないと思うことも大切です。
それが自分の指導法を見直す機会になるからです。
残念ながら、子どもたちの目のキラキラを奪って、それを選手だけのせいにしてしまう、いわゆる選手を潰してしまう指導者はとてもたくさんいるように思います。
スポーツの世界は厳しいので、厳しいことを要求しなければいけない場面は当然あります。
ただ大切なのは、子どもたちのキラキラした目を自分が奪っていないかどうかを、自身で振り返ってみる習慣です。
落ち込んでいる時にちょっとしたコーチの一声でキラキラした目を取り戻す子どもたちがたくさんいると思います。
子どもたちには夢があってそれを叶えるために一生懸命に努力しようとします。
子どもの目を輝かせていけば、子どもは自分で向上心に火をつけ、自分から頑張る姿勢を見せくれます。
さて、ここで話は変わりますが、毎週、日曜日にリズムを使ってサッカーが上手くなる教室を開催しています。
数名の小学生が練習に参加しています。
目をキラキラと輝かせて参加している子どもたちは、あっという間に吸収して、短期間でみるみる上達しています。
特に小学校低学年の時期の吸収の速さには驚きです。
リズム感としなやかな体使いをマスターした彼らが、大きくなったときにどんな選手になるのかが、今から楽しみでたまりません。
子どもたちの夢の実現のお手伝いが出るように、子どものキラキラを大切にできる指導者でいたいと思います。